お久しぶりの投稿となります。コロナ禍で止む得ないことがたくさん出てきますが、成長の機会として捉えております(笑)。
中国では、「データ越境安全査定弁法」は2022年9月1日に正式に施行されることになりまして、「データ越境安全査定申告ガイドライン」という申告手続きに関するマニュアルを公布しました。
本文は、本法の紹介となりますが、兼ねて読みやすくする試みもあります。また、わかりやすい表現を選んだため、もし疑義がある場合は、条文原文までご確認ください。

「データ越境安全査定弁法」とは
一言で表現すると、これは中国版GDPRの一部とも言える法律(正確には法律の効力に相当する行政法規)であり、データが出国する場面の規制に特化した法律です。
この前、個人情報保護法がすでに施行されております。役割が重複しているのでは?という見方もあるかもしれません。ただし、あちらは個人情報の保護に特化するもので、もちろん情報の出国の規制も存在します。こちらはいわゆる公共の安全に特化する法律、といったところです。
「数据出境」の翻訳についてですが、「数据出境」厳密の意味は、「データの出国、国境から離れる」という意味合いです。「データ出国」は何気なくダサいので、「データ出境」は馴染みがないと考え、「データ越境」とさせていただきます。
「データ越境安全査定弁法」に影響されるビジネス
問題意識の観点から、そもそもこの法律ができたらなにがどうなるの、という素朴の疑問が生じます。
業界によってかなり違ってくると思われますが、一番影響されやすいのはアプリ関連事業ではないでしょうか。例えば、最低限のアカウント登録においても基本なんらかの形でデータを取得する形となりますから、法定基準を満たすと査定義務が生じます。
その他事業譲渡、M&Aと伴うデータの移転も考えられます。具体的には、事業譲渡やM&Aの場合においては、結果として事業や会社の中にある特定の情報も、対象データとして包括的に移転されることになります。そこで、ビジネスはスムーズに進められるために、契約締結の段階ひいてはその以前、業務処理の負担や責任の所在を考慮し、談合などして事前に約束しておく必要があります。軽視されやすいポイントですので、場合によっては大きなトラブルと直結してしまいます。
「データ越境安全査定弁法」による具体的な規制対象は
本法は主に、データの性質、企業の性質、データの量をもって規制対象を定めている。具体的には、下記のいずれかを満たす場合、先に自己査定を行い、政府に申告し、データ越境の許可を得なければならない。
・データ処理者が国外に重要データを提供する場合。
・キーデータ基礎施設運営者、100万人以上の個人情報を処理するデータ処理者が国外に個人情報を提供する場合。
・前年度1月1日より、累積して国外に10万人の個人情報、あるいは1万人のセンシティブ個人情報を国外に提供したデータ処理者が、国外に個人情報を提供する場合。
という基準で判断されます。
※データ処理者という概念が出ていますが、「データを取り扱う者すべて」と理解しても特に差し支えません。
申告書のポイントまとめ
申告書における自己査定から見る査定のポイント、重要なものを抜粋します。
・データ処理者の基本状況
会社の基本情報、実質の支配者、経営内容、国内外投資状況等
・データ越境と関連する業務と情報システムの状況
・越境させようとするデータの状況
データ越境と国外データ受信者のテータ処理の目的、範囲、方法、及びそれらの合法性、必要性、正当性の説明
データ越境の規模、範囲、種類、センシティブレベルの説明
越境させようとするデータが国内での保存先の状況、越境後の保存先の状況の説明
データ越境後、国外その他のデータ受信者にもデータを提供する状況の説明
・データ処理者のデータ安全保障能力の状況
・国外データ受信者の状況
基本な状況以外、データ受信者の安全保障能力、所在国のデータ安全保護法律とインターネット環境の説明
国外データ受信者がデータを処理する全プロセスの説明
・法律文書(契約の形式に拘らず)で約束したデータ安全保護責任義務の状況
申告の所要時間

省レベルの網信部門が申告書類を受け取ってから、5労働日内に申告書類の完全性(完備か否か)チェックが行われる。その後、国家レベルの網信部門が当該申告書類を受け取り、受け取ってから7労働日内に、受理の可否をデータ処理者に書面をもって通知する。かかる書面通知を発送してから45労働日内に、データ越境安全査定を終わらせる必要があります(材料の補足等事情により延長可)。
従いまして、一か月20労働日という基準で計算すると、おおよそ三か月が必要とされます。また、そもそも新しい制度であり、加えて国際情勢やデータそのものの数、性質等でかなり異なってきますので、4か月や半年程度を覚悟したほうがいい場合もあるかと思われます。
許可の有効期限
許可の有効期間は原則として査定結果が降りた日から二年間となります。ただし会社の内部事情の変化(経営内容など)、そして外部状況の変化(産業や世界情勢など)による再査定のルールも存在します。

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